こんにちは、ALO.です。
地域に根ざした小さな事業の“想い”を、カタチにするお手伝いをしています。
今回は、ロゴやデザインを見直すプロセスのなかで浮かび上がってくる
「自社(自分たち)らしさ=会社の今の本質」についてお話しします。
【なぜ、見直しの途中で“らしさ”が見えてくるのか】
実は、ロゴやデザインを変える前に私たちが必ず行うのが、
「どんな想いで、どんな人たちに、何を届けたいか」を言葉にする作業です。
いわば、事業の「心の整理整頓」。
この段階で、創業当時とは違う価値観に気づいたり、
お客様からの声を通じて、自分たちが “思っていたより評価が高かった部分” が浮き彫りになることもよくあります。
たとえば実際、ヒアリングを行う中でこんな「気づき」の声がありました。
・自分たちの強みは、サービスの良さじゃなく「提供スピードの速さ」だった
・“お客様に寄り添うこと”は当たり前だと思っていたけど、実は一番喜ばれていた
・「素材の良さ」がウリなのに、伝わりにくい見た目だと気づいた(これは逆のパターンですが)
それは、毎日の仕事の中ではなかなか見えにくい、けれど確かに宿っている「今の自分たちらしさ」です。
【自分たちでは気づけなかった“らしさ”が、形になったとき】
ある家族経営のスイーツメーカーさんは、オーガニックな素材を使った高品質な焼き菓子やプリンなどを丁寧につくり続けてきました。
商品自体のクオリティは非常に高く、既にパッケージデザインもプロのデザイナーに依頼されていました。
それでも、「なぜか売れない」「商談が進まない」という課題を抱えて、中小企業診断士を通じてご相談をいただきました。
ヒアリングを重ねていく中で浮かび上がってきたのは、
その商品にある手仕事の温もり、素材への誠実さ、そしてどこか「古き良き時代の菓子店」のような懐かしさでした。
そこで、「レトロで上品」「ヨーロッパやアメリカの伝統菓子を思わせる世界観」を軸に、
パッケージのトーンを大きく見直しました。
飾りすぎない、けれど丁寧で品のある佇まいを意識し、あえてシンプルな構成に。
すると、そのパッケージを見たバイヤーからの反応が大きく変わり、
高級スーパーや有名な自然食品チェーンとの商談が次々に決定。
最終的には、そのパッケージデザインを“今の自分たちらしさ”として、ロゴとしても活用することになりました。
「こういうふうに見せたかったのに、自分たちでは言語化できなかった」
という言葉が、とても印象に残っています。
ALO.にとってのゴールは、ただ“見た目のかっこよさ”を提案することではありません。
その会社が持っている本質的な魅力と、「今伝えたい価値」を形にしていくこと。
それが届いたとき、発信の先にある未来は、大きく変わっていきます。
【“らしさ”はつくるものではなく、掘り起こすもの】
ロゴを考えることは、自分たちの“核”と向き合うことでもあります。
今の事業がどんな役割を果たしていて、どんな感謝を受け取っていて、
何をこれからも届けたいのか。
そういった想いを紐解いていくことで、
「なるほど、これが自分たちの強みなんだ」と言語化され、
ビジュアルや言葉に落とし込まれていきます。
“らしさ”とは、新しく作るものではなく、
もともとあったものをすくい上げる作業なのかもしれません。
【ALO.からのひとこと】
デザインの刷新は、表面だけを整える作業ではありません。
“らしさ”と出会い直すこと。
そして、それを誰かに伝わる形で見せていくこと。
ALO.は、そのプロセスを一緒に並走しながら、
デザインという「伝える手段」を丁寧に整えていきます。
次回は、
「“なんとなくそれっぽい”から抜け出す、ブランドのつくり方」をテーマに、
ブランドの“芯”を持つことの重要性や、テンプレート的な表現から脱却する方法をお話したいと思います。